プレセッターSU・プレセッター

プレセッターSUの機能・性能

1.金物降伏型で安定した強度を発揮

プレセッターは木材が破断するまで金物は変形しないことを前提とした設計がされていましたが、プレセッターSUでは敢えて厚みを2.3mm(一般的な板厚は3.2mm)にすることで金物にねばりを持たせています。木材強度のバラつきを抑えることが可能になり、強度の安定化を図っています。

2.使い勝手を追求した金物形状

コンパクトな1ピース型のプレセッターSUは、技術面、コスト面などのメリットを最大限に引き出し、安定した強度と高い施工品質を実現します。

本体の背に付いた爪が木材をがっちり噛んでいるため、ボルト締めによる本体の回転を防ぎます。

ドリフトピンの穴は外側に1mm高で突出するエンボス加工を採用。ピン穴を補強するとともに、板厚が薄くても左右のブレがなくガタつきません。

本体の上下に折り返し加工を施したコの字型成形を採用。ボルトとナットの締め付けで金物が内側に変形するのを防止し、スムーズに梁の落とし込みができます。

本体上部は1.5mm程度の厚さにつぶし加工を施したガイド機能付き。木材の引っ掛かりを防止し、スリットへの挿入がスムーズにできます。

3.長期継続荷重に対応し、MP木造建築に最適

DOL試験とクリープ試験を実施し、継続荷重による接合部への影響を検証し、接合部の変形が使用上支障のない範囲であることを確認済み。MP木造建築でも安心してご使用いただけます。

クリープに対する性能検証が必要なわけ

発売当初のプレセッターSUは、端距離や縁距離が考慮されておらず、短期・長期荷重の耐力については実験で確認した許容耐力や基準耐力で運用されますが、長期荷重による変形量(クリープ変形)を示すデータはありませんでした。一方、MP木造建築の場合は、建築学会が定めた木質構造設計規準にクリープ変形を考慮した設計をするように記載されているため、クリープ変形の影響を確認すべきとの声があります。そこでBXカネシンでは、MP木造建築でも安心してご使用いただくために、長期荷重を受けるプレセッターSU梁受金物にて「DOL試験※1」と「クリープ試験※2」を実施しました。

※1 DOL(Duration of load)試験・・・所定の荷重をどのくらいの時間継続できるかを検証する試験。
※2 クリープ試験・・・時間の経過と共に変形量を確認する試験。

試験概要

・DOL試験 :3パターン×2サイズ
・クリープ試験 :2サイズ(①梁せい105/PS-10SU ②梁せい180/PS-18SU)
・試験期間 :2014年7月~2016年3月
・研究機関 :京都大学(BXカネシンが研究に参加)
・試験協力 :一般財団法人ベターリビング、齋藤木材工業(株)

アームの先端に錘をぶら下げ、てこの原理を利用して試験体に錘の約20倍の応力をかけています。

検証方法と試験結果

DOL試験

・検証方法
各応力比(静的せん断試験における最大荷重比)載荷時の終局破壊までの期間をマディソンカーブと比較。マディソンカーブに指標としてあげられる継続期間を超えても破壊しないことを確認する。

※マディソンカーブとは、継続荷重の大きさと荷重継続期間との関係を表したグラフです。アメリカの設計法ではこの曲線に基づいて荷重継続期間の影響が考慮されています。

目標載荷期間

応力比 0.9 0.8 0.714
PS-10SU 1時間
短期(地震や風圧に耐えられるか)
3日間
中短期(一般地域の積雪に耐えられるか)
3ヶ月間
中長期(多雪地域の積雪に耐えられるか)
PS-18SU

結果

プレセッターSUは、目標載荷期間を超えても破壊しないということが確認できました。

クリープ試験

・検証方法
①クリープ試験結果より回帰直線を導き、それをもとに50年後の相対クリープを予測し、200%以下の変形比率になるかを確認する。(接合部のクリープ試験の指標はないため、木材の梁のたわみを検証するクリープ試験で相対クリープ200%以下(初期変形の2倍以下の変形量)が求められることからこの数値を指標にした。)

②クリープ試験結果より回帰直線を導き、静的せん断試験の最大荷重時変位までの到達期間を予測し、何年後に終局変位に到達するかを確認する。

①相対クリープが200%以下になるか。

②何年後に終局変位に到達するか。

最大荷重時変位到達予測 8.6 × 1036

8.6 × 1036年は、おおよそ到達不可能期間

結果

プレセッターSUは、50年後の相対クリープが180%でした。また、静的せん断試験における最大荷重時変位に到達するまでの年数を予測しましたが、おおよそ到達不可能な期間が出たため、クリープ変形による影響は限りなくないものと判断できます。